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Aethosを考える~市販最軽量ディスクロードが、今選ばれる理由。~(考察編)

  • スタッフブログ
  • 2024.05.27

去る2020年10月9日、スペシャライズドは、型破りな超軽量ロードバイクを発表した。

軽量でありながらレースにフォーカスはせず、
純粋にロードライドを楽しむコンセプトを前面に押し出した「Aethos(エートス)」。

しかしながら、昨今のトレンドとは真逆のノンエアロ・ケーブル外装という、極めてノーマルな仕様。
発表当時は、懐疑的な意見や見方が多く、メーカーの想像以上に受け入れられなかった。

そんなエートスは、今爆発的に普及し、多くのホビーライダーから圧倒的な支持を得ている。
なぜ発売から2年以上経った今、Aethosが選ばれているのか。

今回はその理由を私なりに考察し、Aethosの魅力をお伝えしていきたい。

Nice to meet you AETHOS.

まだAethosについて詳しくない”はじめまして”の方も多いことだろう。
私の考察へ入る前に、予めAethosについて簡単にご紹介しよう。

単純なスペックだけなら、フレーム重量は585gで完成車重量は5.9㎏。
開発はピーター・デンクという、軽量バイクの歴史を作り※数々の名車を生み出したスーパーエンジニア。
(※ Scott Addict・キャノンデール Super Six Evo)
10万回にも及ぶシミュレーション行い、最高の重量剛性比を達成したバイクといった所だろう。

だがそんなことはどうだっていい。カタログを見れば分かること。

突出した軽量性から、軽さばかり注目されがちであるが、エートスの本質は別にある。

それは誰でもロードバイクを楽しめる、寛容で自由なバイクということ。

多くのライドインプレッションを読むと、「身体に優しい乗り心地で疲れにくい」とか、「下りでの安心感がある」といったような、自転車を楽しむための要素が詰まっているように感じた。

とくに多かった共通意見は、「ずっと走っていたい」という内容。
シンプルなワードながら、自転車に乗る全ての人が求めているものであった点も大変印象深い。

今、Aethosを選ぶライダーは、間違いなく急増している。

The freshness of old.

先述した通りAethosは、全くエアロでもなければギミックの搭載もない。
フレーム重量こそ585gという、恐ろしい軽さではあるものの、普通(ノーマル)という言葉が一番しっくりくるバイクだ。

しかしながら、現在のフルカーボンバイクにおいて、これほどまでにノーマルなものはあっただろうか。

古い(クラシカル)という新鮮さは、Aethosが持つ唯一無二の誇りなのである。

ロードバイクはこれまで、レース機材として幾度となく進化を繰り返してきた。
今や機能性・走行性能は極限まで達し、進化の限界点すら見え始めている。

そしてレース機材であるバイクは、数年に一度フルモデルチェンジし、レースシーンとビジネスを動かし続ける。
その度に、オーナー達は一喜一憂し、バイクを乗り替えるのだ。

これは競技者や既存のライダーにとって、最大の楽しみであり、ワクワクと幸せをもたらしているのは事実だ。
少なくとも、私も間違いなくそのうちの1人である。

一方で、iphoneのモデルチェンジに似たコンペティティブを、忌み嫌うライダーも少なくないはず。

だが、Aethosは違う。

クラシカルという武器は未来永劫なのだ。

クラシカルと呼ばれるものは、いつの時代でも不変的な価値があり愛されている。
同じ自転車で例えるならば、クロモリロードのそれである。

カーボンバイクでありながら、この要素をもち合わせるのは、絶対にAethosだけだと言い切ることができる。

発表当時、多くの人はおおよそ理解が及ばなかったのであろう。
ようやく時代がAethosに追いついた。
今、その気高き誇りは、驚異的なスピードでライダーを魅了し始めている。

The culture of Aethos.

この先、Aethosは自転車のカルチャーに、大きな変革をもたらすと私は考える。

これまでのロードバイクを定義するならば、「強い競技思考とトップダウンによる消費」が最適な表現だ。

要するに、欧州のプロツアーレースを走る、トップ選手の駆けるマシンが正義。
そして最後にエンドユーザーが、そういったバイクを購入する。これを数年に1度のサイクルで繰り返す。

ロードバイクは速く走る乗り物と定義され、”サイクリング”というニーズに対し、本当の意味で応えられていなかったのではないだろうか。

しかしながら少しずつ、多様化する時代の流れにより、自転車の在り方・楽しみ方も異なってきている。
事実、グラベルロードというカテゴリーは、走り方だけでなくバイクの構造やトレンドに変化をもたらした。

そしてAethosも同じく、全く新しい本当の”サイクリング”を我々に提示してくれている。

走るペースは自由・カジュアルな服装で・近所のカフェへ・ファンライド…
外に出てペダルを漕ぐことを楽しむだけ…

歴史が積み重ねたロードバイクを定義する足かせを、全て打ち砕くロードバイク。

だが新しいカルチャーを作るのはバイクではなく、Aethosに跨る貴方であるということを忘れないでほしい。


以上が私の考察になる。既存のオーナー様には、共感できる部分はあっただろうか。

Aethosは、ロードバイクの新しい価値観を切り開く、トランプカード(切り札)。
これからロードバイクを始める方は、Aethosを候補の一つに是非入れていただきたい。

次回はインプレッション記事を公開予定です。

この記事を書いたスタッフ

藤木 大貴

藤木 大貴(DAIKI FUJIKI) スポーツ自転車歴15年。高校時代、クリテリウムのロードレースで活動。大学ではトライアスロンに挑戦。 デュアスロンでは、世界選手権出場経験を持つ。