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よく耳にする”油圧式ディスクブレーキ”とは?その実態を藤木が本音で語ります。
こんにちは、スペシャライズド京都の藤木です。
ここ数年、スポーツ自転車についてネットで調べると、あるワードをよく見かけませんか?
”油圧式ディスクブレーキ”
昨今の、著しい技術進歩により、自転車史の中でも類を見ないスピードで標準化されたパーツです。
なんとなく分かるようで分からない、どんなメリットがあるのか、従来のリムブレーキ式との比較等々…
ユーザー様の疑問が尽きないのは当然のこと。
私自身、油圧ディスク搭載車に乗り始めたのは、まだ4年前のこと。
とはいえ、4年も乗るといろんなことが見えてきます。
そこで今回は、私が実際に感じた事や伝えたいことをまとめてみました。
皆様の参考になれば幸いです。
正当進化
油圧式ディスクブレーキを日々使う中で、最も感じる事は、”正当な進化を果たした”ということでしょう。
むしろ遅すぎたのではないかと思うくらいです。
つまるところ、スピードが出る乗り物に対して、より安全かつ確実に制動できる機能は欠かせないということ。
スポーツバイクの場合(とりわけロードバイク)、人力で時速50㎞近いスピードでの走行が可能です。また下り坂ではそれ以上のハイスピード走行を行います。
油圧式になったことで、これらのハイスピードなシチュエーションに対し、適切なアプローチをとることが可能となりました。
安心感と心の余裕
油圧式最大のメリットは、少ない力で今まで以上の制動力を発揮できることにあります。
簡潔に表現すれば、「油圧=力の増幅装置」といった所でしょうか。
従来のリムブレーキと比べ、非常に少ない握力でブレーキコントロール出来ます。
その恩恵は大きく、腕や肩の力が抜けたリラックス状態で、安全に止まったり坂道を下れるのです。
ディスクロードに乗り換えてからダウンヒルの際、下ハンドルでブレーキレバーを引かなくとも十分な制動力を得られています。特に下りが苦手な私にとっては、上ハンドルのポジションでブレーキがしっかり効く安心感は、コントロールスキルを補うだけでなくメンタル面にも効果的です。
自然なブレーキフィーリング
ディスクブレーキのメリットについて、多くの方が単純なブレーキングパワーの向上だと捉えています。
それゆえ、「ブレーキがガツンと効く。」「ロックしそう。」といったイメージをお持ちの方が多い印象です。
しかしそれは間違った認識です。先述したように、小さな力で大きなブレーキ力を発揮するわけです。
これまで以上に制動力の強弱を効かせやすく、減速したい・止まりたいといった乗り手の思考をそのまま反映します。
ナチュラルなブレーキフィーリングを体感できます。
雨ニモマケズ
ディスクロードに乗り換えて、最も恩恵を感じたのが雨の日でした。
数年前まで、自宅から職場までの往復30㎞を大雨の日も台風の日も雪の日も、毎日ロードバイクで通勤していました。
そんな中、毎日安全に通勤できたのは言うまでもなく、ディスクブレーキのお陰です。
従来のリムブレーキの場合、ブレーキ面に水が付着すると制動力が極端に低下。
制動距離が延びるなど、ヒヤッとするシーンもしばしば。
一方ディスクブレーキの場合、どんな大雨であっても不安を感じる事は一切ありません。
ブレーキの効き始めこそ、若干の制動力低下は否めませんが、リムブレーキとは比べ物にならないパワーです。
とはいえ、”どんな環境であっても、安定した制動力を提供する”
これはブレーキシステムにおいて、絶対的に必要な機能です。
メンテナンス性は?
リムブレーキでは、ワイヤーケーブルの伸び・劣化をはじめ、パッドのすり減りにより、ブレーキレバーの引きしろに変化が生じていました。
一方で油圧式の場合、基本的に引きしろの変化は生じません。
これは大変メリットでもありますが、1点注意すべきことがあります。
それは、変化が生じないことで、ブレーキパッドの摩耗やオイルの劣化に気付かないということ。
要するに、定期的なショップでのメンテナンスが大切となります。
また近年の著しい技術革新により、ユーザー様の想像以上に扱いやすく高いメンテナンス性を確保。
しかしながら、オイル交換やエア抜きといった作業では、ディスクブレーキの内部構造をしっかりと把握し、日々のテック作業で培った経験値が必要となります。
こういった作業は、専門店でしか決してご提供できないサービスです。
総括
・油圧式ディスクブレーキは、単純な制動力アップだけでなく乗り手のライドスキルを補い、安心感を与える。
・乗り手の意思に素直な反応で、ナチュラルなブレーキフィーリングを提供する。
・従来と異なり、外部からブレーキ構造を把握できないため、専門店でのメンテナンスが重要。
いかがでしたか?油圧ディスクブレーキの理解が深まれば幸いです。
また、スタッフ各々感じることは千差万別。
私以外の考え方や意見も気になる方は、ぜひスペシャライズド京都へご来店ください。